甲賀古士その1 島原の乱

はじめに

 「甲賀古士」とは、甲賀在住の元侍衆の農民のことである。彼らは戦国時代、いわゆる”忍びの術”を以て諸国の武将に与し、時に反抗したと伝える。豊臣秀吉による甲賀武士の所領没収=甲賀ゆれ=によって、甲賀武士は没落。ある者は郷土に残り、ある者は郷土を出て新たな仕官先を求めた。おそらく郷土に残ったのは本家筋であり、外に出て行ったのは分家筋であろう。郷土に残った甲賀武士たちは、次第に農民となり、江戸時代には地元の有力百姓として存続していくことになるが、彼らは、①他の百姓家とは由緒が違い、ただの百姓ではないこと、②家々に伝えているという”忍術”をもって、幕府への仕官や生活の援助を希望すること、の2点を主張するため、自分たちを「甲賀古士」と称した。今回は、数回に分けて「甲賀古士」について取り上げていきたい。

続きを読む