幼少の頃の忍者体験

 ある朝、いつも通り起きると枕元に巻物が! その巻物を持って親に連れられ、隣町の公民館的な場所へ。
 部屋で待機していると、忍者に扮した人物が登場。その忍者が話すには、なんでも、悪い敵のアジトをみんなで暴くのだという。これからチームに分かれてもらうが、その引率の忍者を紹介する! と言うと、会場の後ろ、窓の外など、突如複数の忍者が登場。なんと部屋の物入れ(クローゼット?)からも出てきた。これには会場の一同が驚いた。
 持参した巻物の色によってチーム分け。各忍者に5人くらいの子どもが付いた。
 バンダナを使って忍者っぽい覆面をしてから、敵のアジトの手がかりを求めて町へと繰り出す。と言っても、何か心当たりがあるわけでもなく、ひたすら歩き回って、情報を探す。お昼時に通りかかった空き地の草っぱらに腰を下ろし、チームのみんなと一緒に、家から持ってきたおにぎりを食べた。

 

 午後になって、電柱に貼られた1枚の人相書きを発見。引率の忍者曰く、「この人物を見つけよう」とのこと。ふたたび歩きまわって探していると、お尋ね者がなんと自転車に乗って登場! 全力疾走で追いかけ、神社に逃げ込んだお尋ね者を捕まえる。そのお尋ね者から、敵のアジトへ行くためには電車に乗ること、そして敵が(敵の味方に合図するために)途中で旗を振っているので、見かけたら次の駅で降りることを教わり、駅からの地図も入手する。
 善は急げと、チームのみんなと共に急いで駅へと向かう。引率の忍者曰く、駅員は我々の味方だから合言葉を言えば通してくれるよ、とのこと。そこで駅の有人改札に行って合言葉を言うと、駅員は本当に通してくれた。
 乗車して、左右に分かれて窓の外を監視していると、たしかに5人くらいの大人が黒色の旗を(応援団のように)振っている。すぐに次の駅で下車、地図を頼りに歩くと、そこには1軒の民家が。それが敵のアジトだった。

 

 意気揚々と正面の玄関の引き戸を開けると、家の中に敵がいてびっくり! 急いで戸を閉めて、裏口にまわって作戦を練ることに。裏口からこっそり覗くと、途中にカウンターキッチンのようなものがあって、中に敵の忍者がいる。そこを通り過ぎた先の奥の部屋に、自分の名前が書かれた石があるという。それを取って戻れたら忍務達成とのこと。
 1人ずつ、裏口から身をかがめて潜入することに。カウンターキッチンの中には敵が複数人おり、お喋りをしている。ふつうに立って歩いたら、敵と目が合って見つかってしまうため、気づかれないように身をかがめながら、気配を消して慎重に奥の部屋を目指す。たどり着くと、そこには銀色のスプレーでコーティングされた石が大量にあった。焦る気持ちを抑えつつ探すと、たしかに自分の名前が書かれた石を発見。よくある名前だし、もし他の人の石だったらどうしようかとか無駄なことを考えながら、この石を掴んで、再び身をかがめて裏口から脱出! 忍務成功となった。

 

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 というのが、私が幼少の頃に経験した忍者体験の話です(妄想ではありません、念のため)。
 このイベントは私の地元で行われたものでしたが、町の人がやっていたのか、それともこういう遊びを専門にやっている集団が来てやってくれたのかは、分かりません。たぶん演劇をやっている人だったのだと思うのですが、それにしても鉄道会社(地元の私鉄)の協力を得たり、空き家を準備するなど、かなり手が込んだものでした。とは言え、かな~り昔のことなので、記憶違いもあるかもしれません。
 忍者の研究などを始めるよりずっと前のことですが、幼少の頃から忍者好きで、親も知っていてこのイベントに申し込んでくれたのでしょう。ただ残念なことに、このイベントの主催者などまったく覚えておらず、ネットで探しても見い出すことができない、今となっては謎のイベントだったのでした。